2017年12月2日土曜日

簡易心電図モニターも買っちゃいました

この前のパルスオキシメーターに続き
調子に乗ってしまって、また医療機器を買ってしまいました。
ECG(Electrocardiogram)Monitor:心電図モニター(品番:PC-80B)です。
PC-80AってBluetooth内蔵タイプもありましたが、予算オーバーなので。

***追記 2019.11.8***
お店のリンクが切れてるので、追記します。
上はPC-80B、これはPC-180B、2種類がありますが、違いがわかりません。
ソフト ECG Viewer Softwareや電極パッドの有無でも価格が異なってます。
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これで到着していました。
この価格帯でも超簡易包装なのですね。
箱はフルカラー印刷でいい感じのパッケージデザインだと思います。
潰れなど無いので丁寧に輸送されているようです。
中身は全部でこれです。
 DS203より一回り大きい程度。
裏の電池ボックスを開け単4電池を2本入れます。
右端の端子に3極のパッドをつけます。
この端子には、この3つの電極パッドをつけます。
左から[F:GND][L:-][R:+]です。
パッドには粘着ジェルが付いていて体に貼り付けるようになっています。
ケーブルとパッドは、ホックになっていて取り替え可能です。
ホックは、近くの病院の使い捨ての電極パッドと同じでした。
この様に体に貼ります。(マーティーではありません)
Aliexpressから拝借しましたが、左右逆ですね~
この方は心臓が右側なのかな???
ECG-Monitorは明らかに左右反転してますね~
出所:Aliexpress
心臓の刺激の流れと心電図の関係を描いたGIFアニメーションが
素人には非常に分り易すく面白いので、英語のサイトからちょっと拝借。
正面から見た心臓の起電圧ベクトル(”興奮ベクトル”と呼ぶらしい)の概略です。
”双極誘導”と呼ばれ、[+][-][GND]の3電極の付け方で
Ⅰ誘導、Ⅱ誘導、Ⅲ誘導があるそうです。
振幅は、Ⅱ誘導 > Ⅲ誘導 > Ⅰ誘導になります。
頭上から見たベクトルが、いわゆる”12誘導”ってやつだそうです。
心臓の刺激伝達は3次元ベクトルなのです。
絵:マーティー
「看護roo!」って所が優しく詳しく説明されていますが
コンテンツの転載は許可制になっていますね~
マーティーが後でじっくり読むかもしれないのでリンクを記録しておきます。
特に「心電図の記録法|心電図とはなんだろう(1)
心電図の記録法|心電図とはなんだろう(2)
にこの辺りの事が詳しく書かれています。

同じサイトの心電図に関する記事一覧があります。
アクティブ心電図 記事一覧
最初の方の「心筋細胞と電気現象」は、イオンの働きなどの説明が面白いです。

それと「ラジグラ」さんの
刺激伝導系を理解すれば、放射線技師だって心電図(ECG)簡単に読めるようになる!
には、心臓の刺激伝達系が、電気屋にも分かり易く図解されています。

で、貼る場所は、右鎖骨の下の肋骨、左鎖骨下の肋骨、心臓下の肋骨、辺りです。
別のサイトのここに3電極の貼り方の分りやすい図がありました。
中は英語ですので読んでいません(図を見ただけ)
Lead Ⅰ、Lead Ⅱ、Lead ⅢがⅠ誘導、Ⅱ誘導、Ⅲ誘導のことです。
振幅が、Ⅱ誘導 > Ⅲ誘導 > Ⅰ誘導になっています。
心臓左右のⅠ誘導では振幅が小さくなるのはわかる気がします。
電気屋的説明ですとGNDを起点に2点の電圧を差動増幅器で見ている事になります。
また、本体のこのサイドには電極が2つ。
 こちら側には電極1つ。
この電極を使ってこんな測り方もできます。(本体が別の型の画像ですが)
この場合、手側が2つの電極、胸側が電極1つで使います。
何誘導になるかわかりませんが、ノイズも少なそうで
さっと測れるので、継続して使用するならこれが一番良さそう。
但し、この電極を使う時は、測定時間が30秒程に固定されています。
出所:CONRAD Business Supplies
両手でも見れます。ちょっとノイズが乗りやすい感じもします。
この場合、右手側が2つの電極、左手側が電極1つで使います。
これも測定時間が30秒程に固定されています。
出所:Aliexpress
電源を入れると
”Please consult a doctor”
”Don't use for self-diagnosis!” とでます。
「自己診断はダメです。お医者さんに相談してください」の警告です。
メニュー画面です。
左上の[Measure]の位置で右の▶ボタンを押すと測定が始まります。
[Setting]の中に[Filter mode]があり
[Normal]と[Enhanced]が選択できます。
マニュアルには、
・Normal mode:can filter the most interference in ECG signal.
・Enhanced mode:can better reflect the fidelity of ECG signal.
Normal:干渉除外を優先。Enhanced:忠実度を優先。というところでしょうか。
ちなみに「マーティーのある日」の波形です。
”心電図認証”は聞いたことないので公開しても大丈夫でしょう?
3パッドでの”双極誘導”ですが、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲどのモードか忘れました。
パッドでの測定では、最大10時間の記録できます。
再生が終わると測定結果がでます。
幸い”異常なし”だそうです。
付属のマニュアルには[Measurement Result Table]があり
上のように文字で表示される測定結果の説明です。
(マニュアルの3ページ分を縦に繋いでいます)
ECG Viewer ManagerというWindowsアプリが付属しています。
miniCD-ROMの中身はこれです。
「readme.txt」を見ると
Option 1: "PC-80 A B / Prince 180 A B(B0)   (V2.4)"
Option 3: "PC-80 B / Prince 180 B (B1)   (V5.0.0.1)"
とバージョンによってインストール時の選択について説明があります。

マーティーのは、メニューの[Setting]から[Version]を見ると
SW:V5.4.1.0 A/HW:V10-11 でした。
Setup.exe実行してこの画面がでるので
一番下の[PC-80 B / Prince 180 B (B1)   (V5.0.0.1)]ボタンを押します。
Windows10 Home 64bitにインストールできました。
ECG Monitor PC-80Bの電源を入れてUSBケーブルで接続するとこの画面になります。
このアイコンでECG Viewer Managerを起動します。
最初に[Create User]しないとデータを取り込めません。
PC-80B本体内のデータ一覧がでるので、そこから1つ取り込むとこんな感じです。
思ったより本格的かな?病院で見るのと同じロール紙の感じがでています。
上欄の▼枠部が左下に拡大ができ、黒と赤の縦線マーカーを動かすことで
Vertical:電圧とHorizontal:時間が出てくるのです。
前の写真のマーティーのある日の波形と同じですが、本体のLCDで見るより精細です。
先のサイトを見るも短時間の学習では、オシロで波形を見るような訳にはいきませんね~
電子回路は夫々の部品の特性がわかっているから、
どんな波形になるか推測できるわけでして...
まあ素人で判断できるほど波形が変わった時は、即入院レベルだと思います。
なので少し体調が悪い時にモニターを記録しておき
主治医に診てもらう、という使い方がいいと思います。
上の画面を印刷して持って行ってもよさそうです。
この手の携帯心電図モニターは、往診の時にも使われているそうです。

ということで、電気屋は、心電図の読み方は諦めて、中を覗いてみることにします。
裏側のビスを4つ外すと
簡単に開きました。
更にメイン基板とスイッチ基板の各2個のビスを外すと
基板が取り出せました。
LCD面を下にしています。
基盤の拡大。
主要パーツは、これです。
SGM8592YS8 x2:SGMicro OP-AMP
AD623A:Analog Devices Instrumentation Amplifier(計装差動アンプ)
CD4066BM:CMOS Analog Switch
CD4053M:CMOS Triple 2-Channel Analog Multiplexer/Demultiplexer
25Q128FVS6 x2:Winbond 128Mbit Serial FLASH Memry
計装差動アンプとOP-AMPにこだわりが見えるところです。
LCDは、メイン基板に引っ掛けてあるフォルダごと外します。
左側を拡大。
心臓部は、ARMマイコンでした。
STM32F103RCT6:STMicroelectronics 32bit ARM Cortex-M MCU
そういえば、この前の携帯オシロDS203のマイコン:STM32F103VCT6とほぼ同じ!
ADC内蔵だし、オシロスコープを特定の設定で使っているようなもんですからね~
感度だけ、MCカートリッジのフォノイコライザー級ってところでしょうか。
カレンダーと時計が入っている
VS13022:VOSSEL Real-Time Clock
電気的な諸元をみると
・ECG Bandwidth: 1Hz-40Hz
・Internal Noise Level: ≤30uVp-p
・Display Scale: 5mm/mV ±10%
・Common-mode rejection ratio (CMRR): ≥60dB

ここに心電図モニターのブロック図がありました。
単なるGNDと思っていた電極が、ドライブされています。
一般的には、誘導雑音を防ぐ為にGNDでシールドしますが、
その容量をブートストラップでキャンセルするドリブン・シールドというワザですね。
昔~しOP-AMP教科書にあったのを思い出しました。
IA:Instrumentation Amplifierの+と-の横の端子は仮想ショートで
同電位と考えていいので[左足パッド]と[+パッド][-パッド]は
ほとんど同電位となり浮遊容量や漏れ電流をキャンセルできるというものです。
商用電源50/60Hzの誘導ノイズにも効果があるのだろうと思われます。
更にADC前段のNOTCH Filterで50/60Hz誘導ノイズを確実に除去しているのでしょう。
この場合の人間の等価回路はどんなんだろう?
出所:http://www.analog.com
フロントエンド回路図もあります。
PC-80BはAD623Aなので、これとほぼ同じ回路だと思われます。
まだインターネットがない時代に心電波形を見てみたくなり
オペアンプで回路を作ってみたことがありますが、こんな情報の入手ルートもなく
結局、何も見れなかったのを思い出します。
この様な情報がいとも簡単に入る便利な時代なのを痛感します。
まあ情報が入手できててもAD620A相当がベラボウに高いので諦めていたでしょうが。
出所:http://www.analog.com
英語なので絵だけ見ての想像ですが、下の方に行くと
Digital Signal Procceserのフィルタの計算式や
ノイズに埋もれた信号を処理していく様子もあり奥の深さを伺わせます。
アナログのアンプやフィルターでは膨大な回路になることでしょう。
ほとんどアナログ・シンセサイザーにも似た世界になってしまいます。
出所:http://www.analog.com
改造する気はもうとうありませんので組み直して元に戻します。

ここんとこ寒いし、風邪が長引き調子が悪いし、集中力が低下気味(~_~)
運動もして体力をつけとかないといけませんね~。
さて、買って良かったと思う日が来るのか?来ない方がいいのか?.....

2 件のコメント:

motoge さんのコメント...

私も買いました。
しかし解析が素晴らしいですね。
オシロもDS 0120Mを買いまして
色々遊んでいます
これからも色々記事参考に致します

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

motogeさん、見ていただいてありがとうございます。
この簡易心電計、私の手にあまるので、
知り合いの心臓外科医に贈呈しました^^;
父親の所に来てもらってる訪問診療医の先生は
同様のを持ってこられるので
家になくても大丈夫なのです。
これからも宜しくお願いします。