2019年9月15日日曜日

CO2レーザー その22(冷却システム・実験)

CO2 レーザー管の冷却水を冷却する単なる実験記録です。

ペルチェ素子を使おうと思うので
まずは、この辺りをポチっていたのです。

冷却水用の水槽は、約10Lです。
これは、15Lを8~10℃以下にできるとありますが、
気温とかの条件は、記載ありません。
電源:DC 12V 6A、総消費電力:72 W
冷却電力:50 W
US$ 15.86

上のでは、心許ない気もするので
こっちもポっておりました^^;
12V 10A、120W、30L 水槽用とありますが、
それ以外はなにも書いてないです。
まあ、上のよりは強力でしょう!
US$ 25.86(20% OFF)
水冷システムをChiller(チラー)と呼ぶの最近知りました(-_-;)

温度計、作るの面倒になって、安いしポチッと!
防水で2ポイント同時に測定でき、電源:4~28Vで動作します。
自作するにもこの価格ではできないでしょう。
US$ 1.81(11% OFF)

今日は、実験には絶好?の暑さ!
とても蒸し暑いです。

左側奥に水槽(約10L)、その上にペルチェの冷却ユニット
その前にファン用のDC電源
中央奥の電源ユニットは、0~48V 10Aの可変電源
水槽の中にポンプがあり、冷却ユニットを通って
レーザー管の方へ流しています。
可変電源は、これです。
US$ 32.29(50% OFF)

ペルチェ素子の電源印加前
デジタル温度計
上段(赤):32.1℃・・・ヒートシンク(ペルチェHOT SIDE)
下段(緑):29.3℃・・・水槽内の水温
昼頃なので、ヒートシンクは、ほぼ室温です。
朝から徐々に気温が上がるけど、水温は遅れて上昇するので少し低いのです。
右下は、経過時間を測るためのタイマー
ペルチェの冷却ユニットのヒートシンクのファン3機は、
別電源で12V印加して、0.789Aです。
約0.2A/機のFANが3機なので、かなり風量はあります。
デジタル温度計の電源もこれから取ってて、内12mA。
まずは、3Aで開始!
今一、下がり方が遅いようなので
5Aまであげます。
上の水温:29.2℃の時
ペルチェのCOLDサイド(水が通る青いアルミ部分):27.2℃
2℃の差です。
8分44秒後
ペルチェ用の可変電源のファンが回り始めました。
ケース表面温度:33.2℃
実験用にと買ってた電源ですが
0~48V可変できて容量も10Aあって中々重宝します。
2時間経過!
ヒートシンク:36.9℃
水温:25.0℃
ペルチェの両サイドの温度差は、15℃弱ってとこだと思われます。
電源電圧は、ほぼ10Vで変化ないですが
冷えるにつれてペルチェの抵抗が変わるようで
電流値は僅かに下がっていきます。
約10V 5Aの50Wで3時間経過して
水温:23.7℃
ここで諦めて中断しました(T_T)
冒頭の小さい方の冷却ユニットは、これ位の能力でしょう。
大して冷えんやん、って感想です(-_-;)
明日、12V 10Aでやってみることにしよっと。

...翌日
10Aでは、途中の接触抵抗 10mΩで1Wにもなるので、
ペルチェ素子のリード線と電源を直結して、
電流は、クランプ型DC電流計で測ります。
一応、6Aでテスターとクランプ型電流計の表示を確認します。
あまり流すと、テスターに悪いので6A(12Aレンジ)です。
ほぼ合ってます。
まだ、朝9時頃なので昨日より気温が低いです。
昼は、昨日と同じくらい暑くなりそう。
12V、8.85Aで15sec後
もうヒートシンクの温度が上がり始めています。
全景。
ペルチェ素子のプラスリードを接続した端子:32.4℃
ペルチェ素子のマイナスリードを接続した端子:33.2℃
何も接続してない端子:29.5℃
やっぱし、9A近く流れてるので
端子の接触抵抗でも発熱してますね~
ペルチェ素子からのリード線が太くないのも気になります。
10分経過
31分経過
上の水温:25.8℃の時
COLD SIDEは、22.8℃、3℃差です。
1時間経過
2時間経過
上の水温:22.2℃の時
水槽の外側から測ると21.4℃(温度計は逆さまです)
薄っすら露がついています。
2時間半経過
ここで出力50%で
レーザー管の電流を確認すると
7mA
ん~ん?以前の30℃での電流と変わらんな~
3時間経過
4時間経過
水槽の外側には、かなり露ってます。
また、出力50%でTEST
レーザー管電流 7mA、さっきと変化なし。
出力 40%
4mA
リニアではなさっぽい?
4時間5分で冷却電源OFF
4時間に及ぶ冷却のグラフです。
3時間辺りから横ばいって感じです。
ヒートシンクHOTサイドの変化が面白い。
平坦だったりピークがあったり、意味があるのでしょうが
マーティーにはわかりません。
最初から6時間経過
電源OFFして2時間経過
温度計の上(赤数字)は、室温です。
電源OFFして4時間半経過
電源OFFして6時間経過
電源OFFして8時間経過
電源OFFして11時間経過
夜になってやっと室温=水温になりました。
4時間冷却し、ペルチェ素子の電源OFFしてからの温度変化です。
[ヒートシンクHOTサイド]は、
6時間辺りでセンサーを室内に出したので、室温になってます。
ペルチェ素子の電子冷蔵庫は、この時修理しましたが、
使うのは初めてです。
思ったより時間掛かるな~
ちょっと熱量の計算してみます。

ペルチェ素子は、TEC1-12710ってのCLONEだと思われます。
特性グラフは、このPDFがよさそうです。
最大冷却能力:100W超えてますが
DT(ペルチェ素子のHOT-SIDEとCOLD-SIDEの温度差)が
0℃の条件下なので実際にはあり得ません。
電流定格は、DT Maxの条件なので、10Aまで流せそうです。
グラフでは、
 Th:ペルチェ素子HOT SIDEの温度
 DT:HOT-SIDEとCOLD-SIDEの温度差
特性グラフは、Th 27℃と50℃の2つだけです。
4時間後の水温:21℃辺りで
Th:39~40℃、DT:20℃辺りで、電流:8.2A
なので、Th:50℃のグラフを使って
DT=20℃、I=8A(赤線)で見ると
冷却能力 Qc=73W
これは、使い方がわかりません。
電圧一定では、DTが上がると、電流が下がると読めます。
12V印加実験でも、DTが10℃ ⇒ 20℃の変化で
電流 8.6A ⇒ 8.2Aと下がっていました。
Th:40℃付近だったので、このグラフには乗りませんが。
X軸の12VからDT:20℃(青線)に線を引くと
冷却能力 Qc=73W
最初のグラフのDT=20℃、I=8Aのと同じ結果です。
C.O.P:Coefficient Of Performance
入力電力に対する冷却能力比
[Qc(Cooling Power)]÷[Input Power(V × I)]です。
X軸の12VからDT=20℃(赤線)のグラフに線を引くと
C.O.P ≒ 0.7位ですね~
先の12V印加では、
水温:21℃、DT:20℃辺りで、電流:8.2Aだったので
入力パワー:12 x 8.2 = 98.4W
Qc = 98.4 x 0.7 = 69W・・・①
実使用での冷却能力だと考えられます。
一方、水を冷却するのに必要なパワーを求めてみます。
この辺を参考にして~

Q[cal/h] = (T2-T1) x W x C ÷ H
P[W] = Q ÷ 859.85 x η
 Q:熱量 [cal]
 W:重量 [g](容量 x 比重)
 C:比熱 [cal/g・℃](水:1)
 T2:冷却後の温度 [℃]
 T1:冷却前の温度 [℃]
 H:冷却に要する時間 [hour]
 P:熱量 [W]
 η:余裕率(安全率)1.3~1.7
 1[W]=859.85[cal/h]

で、水槽の10Lの水を3時間で30℃ ⇒ 20℃まで下げる場合
Q = (30-20)x 10000g x 1 ÷ 3 = 33333 [cal/h]
P = 33333 ÷ 859.85 x 1.5 = 58 [W]・・・②

η:余裕率(安全率)1.5 で計算してみました。
これには、外気から水槽に入る熱も含まれていそうですが、

同じ式で水槽が外気から受ける熱量を計算してみます。
12V印加で冷却した後、電源OFF後の経過はこれです。
4.6時間で21.3℃ ⇒ 26.4℃まで上がっていたので
Q = (26.4-21.3)x 10000g x 1 ÷ 4.6 = 11087 [cal/h]
P = 11087 ÷ 859.85 x 1.5 ≒ 13 [W]・・・③
随分と逃げてるんですね~
水槽の周りを断熱材で囲まないといけないのかな~
段々面倒になってきました~(-_-;)
上での計算、②10Lの水を3時間で30⇒20℃にするパワー:58W

③外気から水槽に入るパワー:13W
を足すと、58+13=71W
前で計算した① TEC1-12710の冷却能力:69W
最初のグラフをもう一度見ると
4時間で28℃ ⇒ 21℃程度なので、
計算より冷却能力が不足してることを物語っているようです。

3日目は、保冷パックを入れてやってみることにしました。
冷凍庫にたまたま1個あったのです。
朝 10:30開始!
室温:32.5℃、水温:30.5℃
もうこんな室温になってます。
今年は、やけに残暑が厳しい~
水槽に保冷パックが浮かんでます。
開始直後、
タイマー押し忘れてで30秒後位にSTARTしたかな(-_-;)
今回は、冷房もつけて、27℃に設定しました。
約3分後
15分経過
1時間経過
3時間経過
エアコンつけてるので湿度が低いせいか
写真ボケで分かり難いですが、
水温20.5℃でも水槽の外側、ほとんど露はついていません。
4時間経過
水温20℃切りました!
6時間経過
遂に水温18℃までいけました!
でも6時間だもんな~(T_T)
やはり、エアコンで湿度が低いからのようで
水温18℃でも水槽の外側に露は、とても少ないです。
エアコンなしでは、水温21℃でこんなに露がついてました。
出力50%で電流確認します。
ちょっと下がりました。
21℃で7mAだったのが、6mAになっています。
2月の時は、5mAだったんです。
過去のカット実験では、
レーザー管の電流が多い方がレーザーパワー弱い傾向にあるんです。
どうゆう原理なのかわかりません。
劣化したら電流が減ると思うのですが。
6時間を超えたので、
6時間後
10:30スタートして午後4:30頃
右下のセンサーが赤の表示で室温です。
エアコンつけてるので室温27℃です。
エアコンも止めて
ペルチェ素子の電源もOFFしました。
開始から7時間後
ペルチェ素子とエアコンOFFして1時間経過。
室温は、もう31℃
水温も上がってきました。
冷却は、6時間の水温18℃で中止しましたが
グラフの線を伸ばしてみました。
8時間後に17℃までは、微妙に厳しそうです。
さっきと違ってHOTサイドも下がり続けてる。
ちょっと気になるのが、
水温18℃で出力50%で電流見てると
時々、電源からチリチリ音がしてトリガー不良で電流が流れません。
15~18℃が最適のハズなんだが
冷水で冷やすと、写真では判りませんが、
レーザー管の陽極(陰極にも)に薄っすらと露がついています。
電極は、シリコンゴムでしっかり覆われているし
露は、関係ないとは思うのだが...
冷却してもトリガーミス起こすし、どうも挙動が変です。
ひょっとして、このレーザー管劣化してるのかなあ(T_T)
ひとまず、寒くなりまで待った方が良さそうです。

この方は、40Wのレーザー管で、
透明アクリル 5mm厚、出力30% F80、1PASSでカットできてるのです。
よく読むと、購入して2か月以内のデータということで
半年使用するとそこまでの性能は出なくなった。
ということなのです。

やっぱし、劣化してるっぽい(T_T)
この前、うっかり水温30℃近くでやったのがいけなかったのか(-_-;)

もう一つ気になるのが
ステッピングモーターの振動で、レーザー照射位置も微妙振れて
エネルギーが集中できてないんじゃないだろうか?
という懸念です。
確かめるには、GRBL化して
元の1/4 Microstepを1/16にするしかないですね~

一応これも記録しときます。
ここでたまたま見つけたもので、銅イオン濃度による色の変化です。
腐敗防止には、数十ppmでよさそうなのですが
水槽の銅釘が少なそうなので、後で追加しよっと。
出所:JapaneseClass.jp
レーザー管、買っといた方がいいのかな~
まだアクリルが切れているので、我慢することにします。
それより、振動を減らした方がよさそう。
とは云うももの、なかなかやる気が湧いてこない(-_-;)

*****その後(2019.10.14追記)*****
2019年初めに見つけてたサイト
15~18℃とあったはずなのに、今はないなくなっています。
URLのlasertubecn.comで検索すると
レーザー管の画像はでてくるのに、どのサイトも閉鎖(T_T)

別のを探してみると
ここは、アメリカのLaserメーカーのようですが
冷却水は、12~30℃、2L~4L/minとあります。
出所:morntech.com

こっちには、何と!
冷却水、10~40℃、3~5L/minってあります。
出所:recilaser.com

こちらには、何と!
15℃以下では、レーザー発振器が収縮し破損するとあります。
出所:troteclaser.com
ここでは、冷却水 25~30℃ と。
出所:civillasers.com
これまでの実験と照らし合わせても
15~18℃ってのは、低すぎて、トリガー不良を起こすようだし、
30℃以上は、劣化する危険あり。
ということで、
25±3℃辺りで使うのがよさそうだと思われます。
*****追記ここまで*****

8 件のコメント:

yoch さんのコメント...

今日、アクリル5mmをカットしました。水温30度でS0.5F300で一発カット。電流は10mA程流れてました。こちらも40w管です。

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

yochさん、情報ありがとうございます。
5mmアクリルがF300で一発とは素晴らしい~
私のレーザー管は、わりと劣化しているということですね。
その後、18℃は、低すぎることがわかってきました。
max 30℃辺りまで大丈夫のようですね。
さてどうしようかな~

sbin さんのコメント...

こんにちは、興味のある実験されていますね。私も CO2 レーザーカッターを作ろうかと思い始め色々読み漁っております。

上から2個目のCHILLERを試したいなあと思っています。
やるべき実験が山積みでいつ作れるのかわかりませんが、やってみます。とりあえず半導体レーザーで 2.5mm のMDFは切れるので、部品も作る予定です。

半導体レーザーは GRBL1.1f を載せて LaserGRBLで使っています。
NCVCの相性が悪くて諦め DXF → Inkscake → SVG でそのままカットしています。

今度つくるのは、 MACH3 で動く予定で考えています。

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

sbinさん、お久しぶりです。
その後、調べていたら、15~18℃ってのは低すぎるようで、間違ってる可能性が高いです。
25℃近辺がいいようですが、定かではありません。
半導体レーザーで2.5mmMDF切れるのはいいですね~
私のは、5.5Wなのに不良だったみたいで切れません(T_T)
CO2レーザーカッター自作いいですね~

sbin さんのコメント...

お久しぶりです。WEBを見ていたら CW-3000とかいうCHILLERが26度位で動いていました。なる程です。
aliの最安値でも 13K位+8K送でしたので、マーティーさんの結果を見て試したいと思った次第です。ペルチェの先にポンプは付けるとしてその先は1L位の水を入れる瓶にして、その先はグルグル巻いた銅管(ラジエター式)を水槽に沈めれば早く冷えるかなと思った次第です。

ところで、LEDレーザーは初めは良く切れませんでした。
LaserGRBL を使って Inkscape のSVGから読み込むときに
変換するのですが、速度は 500 強さ S は1000 にしました。
これで良く切れるようになりました。強さは 256階調らしいのですが、 500 で 50%なので 1000 で100%となるようです。どこかに 0~256 と書いてありましたが階調のことで
強さではありませんでした。
また GRBL0.9 まではレーザーONは M3 でしたが、1.1からは M4を推奨していてラスターもOKです。Inkscape で書くときは線の色を赤ににすると切断で青にすると写真印刷に向いています。Inksckape は JWcad の DXF
を読めるので結構正確に切れます。3パスでレーザー光が貫通します。以上失敗レポートでした。

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

sbinさん、情報ありがとうございます。
CW-3000、800W~1.5KWと凄いやつですね~

私のLDは、ビームの縦横比が異常に大きいので、
合焦させてもビーム系が極端な楕円で小さくならない
不良というか、SPEC OUT品っぽいものなのです。
厚紙カットや階調描画程度はできるので、
GRBL 1.1f $32=1のDynamic Laser Modeで使ってます。

sbin さんのコメント...

そうでしたか。私のも楕円気味です。焦点は18mm位で結構丸が大きいです。
私も$32は1です。F200 S1000 で2パスでポロっと取れます。やはりコストを抑えて作ろうとするとMDFは必須なので
重宝しそうです。

一番困るのはZの調整がフニャフニャなので、なんちゃって雲台を作って水平を出したら 2パスで切れるようになりました。マーティーさんみたいに几帳面でないのでやっと使えるツールになりました。


マーティーの工房日誌 さんのコメント...

2.5mmMDFがF200の2passで切れるなら十分役に立ちますね。
そういえば、MDF切ったことないです。
今度やってみようかと思います。

几帳面とは、お恥ずかしい~
時々ハマって凝りますが、根は面倒くさがりです(-_-;)