2017年8月5日土曜日

TQFPアダプタソケット製作(前編)

もう1枚のGRBLコントロールボード(Woodpecker)は、
GRBL v1.1fへのUpgrade、失敗続きですが
最後の手段になります。

元々のCNC2418のオリジナルボードは、
v1.1f Upgradeに成功したものの
プローブ端子A5が壊れたまま。
現在、これが、v1.1fで稼働中です。

もはや、2枚とも、修理するには
AVRマイコン ATmega328P-AUを交換するしかありません。

そのチップ 32pin TQFPを取り外すための
ハンダゴテの先っぽは、既に製作しました。

所が調べていたら
生チップは交換する前にBootloaderを書き込まないといけないことがわかり
これも既にArduino UnoをBootloader書込機にしました。

しか~し
どうやってTQFP単体をArduino Unoに接続しようか?
Woodpeckerに載せ換えてからリード線を引き出して
Arduino UnoとISCP接続して書き込む手は失敗しています。

この「Atmel MEGA329P-AU」が、3個!届いちゃっています。
パッケージは、7mm角、0.8mmピッチです。
ここに細いリード線を直接ハンダ付けして
線を引き出すことも考えましたが
突貫工事的に1個だけならまだしも、3個もやりたくないし~。
ちょっとアダプタソケットを探してみます。
あるにはあるのですが~
AliExpressでは、$12前後です。
Arduino Unoが何個買えるかな~
出典:AliExpress
aitendoでは、
ソケット変換アダプタ(TQFP32) [WL-TQFP32-DIP32] 
何と!\7500 成り~!
下層には回路も入っているようですが。
出典:aitendo
aitendoには簡易版もありました。
ICソケット(0.8/32P) [QFP-32-0.8]
これでも\1950 !
これ買っていると
Woodpeckerそのものが買えますね~。
この写真を見ているとどこかで見たことあるような?
出典:aitendo
そうだLANのRJ45端子だ!
この並び方、似てますよね~
使えそうな気がします。
これはもう「ないものは作る!」シリーズで行くしかないです。
家の中に壊れたスイッチングハブあるはずです。
ありました!
まだ光回線がない頃に使っていたBroadBand Routerです。
RJ45が5個あります。
蓋をあけます。
部品の取り外しは、これの出番です。
サンハヤトの「はんだシュッ太郎 HSK-100 30W」。
これはもう廃盤で
今やHSK-200 ⇒ HSK-300 と進化し45Wになっています。
名称も「はんだシュッ太郎NEO」と強そう。
価格もHSK-100の倍以上になっていますが。
で、単体と4連のRJ45を外します。
電動ポンプ式に劣らず、よく吸ってくれます。
30WではRJ45のシールド一体の足がやや厳しかったので
45Wにして、その辺を改良しているのでしょう。
半田屑が入る吸取部も透明になっています。
金属シールドを外して
全部分解します。
この金メッキ線のピッチが0.8mmだったら
こんな感じに並べてそのまま使えるのですが
残念ながら1.02mmピッチなのです。
でも基本的にはこんな構造にしようと画策しています。
更に分解して金メッキ線を取り出します。
取り出したパーツを眺めてしばし構想を固めます。
何となくイメージが湧いてきました。
そしてFusion360で台座部を描き始めます。
これにはかなりの時間を費やしました。
放射状の溝に金メッキ線を32本取り付けるわけです。
中央にチップを乗せる構造です。
裏側はこうなっています。
穴を貫通させています。
表から金メッキ線を入れます。1本だけ描いています。
4方向に千鳥に配置することで
2.5mmピッチで金メッキ線を出すことができます。
上からかぶせる蓋部分。
4コーナーで位置合わせします。
中央の4つのボス(突起)でチップpinと金メッキ線を押さえつけます。
こんな感じで重なります。
下方アングルから。
モデルがで完成したのでCAMの設定をします。
今回は工程が多いです。
・2.0mmPCV用エンドミルで荒削りと輪郭
・0.6mmエンドミルで細かい所
・Vカッターで溝掘り
・0.5mmドリルビットで穴あけ
で8工程にもなりました。
最初からこの工程でやろうと思っていたのではなく
CAM設定しながらこうなっていったのです。

1.荒削り
[2D]-[ポケット]
PVC用エンドミル 2.0mmで
ツールパスの部分を2mm掘り込みます。
2.穴あけです。
[ドリル]を初めて使います。
部材にアクリルを使うので
[サイクルタイプ]:深穴ドリル - 完全退避
[ペック深さ]:0.5mm
にします。
こうすると、0.5mm掘る毎に
ドリルビットが上がってきて切削屑を出すので
溶着しにくくなるはずです。
Fusion360 CAMの説明、「深穴ドリル - 完全退避」とは、これです。
この様に説明がよく出てくるし
シミュレーションで動きも確認できるので
ほとんど調べなくていいです。
ツールパスです。
先に2mm掘り込んでいるので
[トップ高さ]:モデルトップからオフセット:-2mm
にしています。
0.5mmのドリルビットを使います。
3.中央の窪みの荒削り
[2D]-[ポケット]
2.0mm PVC用エンドミルです。
ここまでをシミュレーションします。
判り難いですが
2.0mmのエンドミルで切削したので
赤枠部には、まだアールがついた掘り残しがでます。
中央の四角部を掘り込んで段差ができるので
先に0.5mmの穴開けをしたわけです。
その掘り残しを削ります。
4.細かい部分①
これは、チップの位置決め用のボス(突起)です。
赤丸部分。4つ角にあります。
0.6mmエンドミルで削ります。
[2D]-[輪郭]です。
これは設定に悩みました。
普通に輪郭選択するとこうなりますので
不要なツールパス(青)を削除します。
青のツールパスをW型にしました。
以前ここの最後の方でやった方法です。
この時、赤の矢印も場所が変わっています。
これは、青のツールパルの右側を切削するという意味です。
これは正しい状態。
時に赤の矢印がこの様になることがあります。
これはだめな場合。
この時は、青のツールパスの左側を削ってしまうのです。
修正するには赤の矢印にマウスカーソルを持っていき
クリックすれば位置が変わります。
で、最終的にはこのツールパスにします。
何度もシミュレーションやりようやく理解できました。
今回の大きな収穫です。
5.細かい部分②
前のチップの位置決め用のボスの下側部分です。
赤で囲んだ部分。
前と同様、2mmのエンドミル荒削りの削り残しです。
[2D]-[輪郭]です。
これも苦労の末、このツールパスができました。
でシミュレーションします。
角のアールを小さくできました。
6.溝掘り
金メッキ線用の溝を掘ります。
色々試行錯誤した結果
[2D]-[彫り込み]にします。
0.45mmの金メッキ線を固定する溝を掘りたいのです。
ボールエンドミルが一番いいのでしょうが
今から注文するとまた2~3週間かかるので
CNC2418付属のVカッターを使うことを思い立ちました。
先が20°で尖っているので
1.4mm掘れば、開口部の幅0.5mmのV溝になるはずです。
所がこんなエラーが出るのです。
色々試しましたが
溝の中心を掘ってくれなかったり
Vカッターで溝を掘るには[彫り込み]が一番良さそうなのです。
どうしたものかと、かなり悩みました。
で、そうだ、違うタイプのミルで工具を登録してみようと!
最初に作っていたのはこれ
タイプ:皿穴
次に作ってみたのがこれ
タイプ:面取りミル
アイコンは、全く違うタイプなのですが
右側に色々数値をいれるとVカッターにできたのです。
すると
[2D]-[彫り込み]でツールパスができるではないですか!
一部をシミュレーションしてみると
ちょっと分かり難いですが
思惑通りに掘れています。
上の方に0.5mmの穴があるのですが
その線にピッタリあって円錐状に掘られています。
右のVカッターもいい感じで食い込んでいます。
ただ、1回の堀りの深さを指定できず、複数回切削ができません。
1回で1.4mmを掘ってしまうので、ちと心配が残ります。
輪郭選択はこんな感じ。
選択するのがちょっと大変です。
全ての溝を選択したツールパスはこれです。
溝上は単に一本線のツールパスです。
Vカッターの角度と堀幅から自動的に深さを算出してくれています。
残りは簡単です。
7.位置合わせ用の4コーナー
[2D]-[ポケット]
2.0mmPVC用エンドミルです。
最後です。
8.[2D]-[輪郭]でタブをつけて切り出します。
2.0mmPVC用エンドミル
PVC用は2.0mmと3.175mmしか持っていないのです。
全部通しでシミュレーションしたものがこれ。
上方アングル
苦労した溝部の拡大。
完璧~! かな?
全部通してのシミュレーションの早送り動画です。
Win10ではWIN+Gでスクリーンを録画できるとは知りませんでした。
完全にはスナップできないですね~
左の項目や下のシミュレーションボタン等は録画されません。
次は上側の蓋部分に移ります。
こちらは3工程です。
・2.0mmPVC用エンドミルで荒削りと輪郭
・0.6mmエンドミルで仕上げ
です。
まず
2.0mm PVC用エンドミルで
大部分を切削します。
[3D]-[ポケット]
但し、2mm径なので
中央の突起の赤丸部分に取り残しがあり
直角になっていません。
ここを
0.6mmのトウモロコシ型エンドミルで
[2D]-[輪郭]で
このコーナーだけになるよう下の辺を輪郭選択します。
別アングル。
この様にツールパスができます。
最後は
2.0mm PVC用エンドミルで
[2D]-[輪郭]にタブを付けて切り出します。
全部通しでシミュレーションしたものはこれ。
蓋部の全部通してのシミュレーション早送り動画です。
では、切削に入ります。
部材は、眠っていた透明のアクリル板。
厚み5mmです。
横の方は、昔、金切鋸で切りましたが
それはそれは固くて大変だったのを思い出します。
本当はベークライトが欲しいのですが。
まず、2.0mm PVC用エンドミルで荒削りです。
荒削りと言っても仕上げ代は0.0mmにしていますので
2.0mmで削れない細かい所だけが残ります。

プラスチック系は、トウモロコシタイプより
このPVC用は、溶着がだんぜん少ないです。
逆に木材の時は、ヒゲが出やすいです。
ここの品番は分かり難いですが
マーティーが持っているものは、
2LX3.212  :刃径 2.0mm
2LX3.10    :刃径 3.175mm
2LX3.22    :刃径 3.175mm(45mm LONG)
ケチって3本ずつです。
削っていたら細いの欲しくなって
2LX3.0803:刃径 0.8mm をポチりました。
初めてのGRBL v1.1fでの切削です。
Candle v1.1.7を起動します。
F300は、早いような気がして
早速、Overridingバーで落とします。
削り始めを動画で
この前の集塵機はどうしたか?
溶着しないかじっくり見ておかないといけないので
手動ホースで吸い取りなのです。
というか、切り屑が大きいので使えないのです。
おーーっ、何と!
PAUSEするとスピンドルを止めることができます。
さすがにジョグは動かせないので
エンドミルを交換したりはできないです。
溶着したりした時は大変便利です。
エンドミルの掃除もできますね~。
もちろんトイレにも行けます。
んーん v1.1fは、いー。
最初の
2.0mm PVC用エンドミルの切削が終わりました。
一番右のCandleの予想:16:47
実際:18:11でした。
ここはbCNCみたいにバーで出て欲しい所です。
次は、穴開けです。
軸径3.175mmのを買っています。
スピンドルを交換すると取り付け位置が微妙に変わって
座標がずれてしまうのです。
軸径3.175mmのドリルビットを使わないといけない
という結論に達したわけです。
左から5番目の0.5mmを使います。
アフィリンクは、これ。
0.1~1.0mmのセットです。
0.1mmが折れてたので返金してもらいました。
すぐ折れそうなので、ここからもゲット。
ここの0.3~1.2mmのセットにしました。

Candle 1.1.7にGcode読み込みます。
ツールパスの色付けが面白いです。
0.5mm掘る毎にドリルビットが上がるので
赤黒シマシマです。
動画で。
0.5mm掘る度に上がってくるようにしています。
なかなか面白い動きです。
2本しかないので慎重に開けます。
穴開け終わりました。
中央の四角い所を掘り下げる前に穴を開けないと
段差でドリルビットが曲がって中心がずれる可能性があるからです。
それにしても
実物の大きさ見ると、こりゃー小さいですね
Fusion360では拡大して描いていたので
そう感じなかったのですが、真中の穴は間隔が狭すぎて中が取れそうです。
トロトロやったので時間かかりました。
一番右のCandleの予想:27:14
実際:50:14も掛かりました。
ドリルの上の方は屑が僅かに溶着していました。
やはり0.5mmずつでよかったみたいです。
まあ刃径0.5mmなのでこれくらい慎重にやらないとですね~
水をかけながらやった方が早くできるかな?
また2.0mm PVC用エンドミルに付け換えます。
真中の四角い部分を0.5mm掘り下げます。
円を描きながらジワジワと降りてくるので
バネみたいなツールパスになっています。
”ランプ”と言うみたいです。
ここは、あっという間に終わります。
次は、
Fusion360CAMの「4.細かい部分①」と「5.細かい部分②」を
一緒にやります。
位置合わせ用のボスで角の2.0mmでの削り残しを微妙に削ります。
肉眼ではどこ削っているのかわかりません。
あっと言う間に終わります。
0.6mm トウモロコシ エンドミルです。
いつの間にかチタンコーティングになっている。

S300、F300でFeed:76%ですが
広い面を削る時は、もう少しFeedを遅くした方がいいかもという感じ。
写真は撮り忘れです。
CAM設定で大変苦労した
Fusion360CAMの「6.溝掘り」の所です。
Vカッターを使います。
CNC2418に付属していた先端0.1mm 20°のやつです。
たぶん、ここの Model 2 の20° 0.1mm です。
AliExpress.com Product - New 10pcs New Mini PCB wood drill Bits Tungsten Steel Carbide PCB CNC drill Bit Milling Machine 3.175, 0.1mm,30mm,20 degree

まずは、動画で。
溝にバリが出ています、少し溶着気味です。
途中からS500、F300から
Spindle Speed:70% Feed:75%にします。
深さ1.4mmを一気なのでちょっと心配です。
できましたが、バリが多いですね~
バリがでているので
Spindle Speed:70% Feed:200%でもう一度やり、ならします。
Gcode作り直さなくてスピード可変できるので便利です。
うまいこと溶着のバリが取れているようです
バリならしを動画で。
もう一度、バリならします。
Feed:200%、Spindle:50%で
大分きれいになりました。
「位置合わせ用の4コーナー」と
「輪郭で外径切り出し」は
2.0mm PVC用エンドミルで一気にやります。
Overrindingはこれです。
元は、S300、F300です。
18:44で完了。
エンドミルが太いので
溶着しなければ結構早くできます。
トウモロコシエンドミルでは、溶着しやすいので
かなり遅くしないといけません。
ひょっとして2フルートより
1フルートだったら溶着しにくいのだろうか?
また新しいエンドミルが欲しくなるのであります。
この1フルート、なんだかカッコいいですよね。
いかにも切れそう!
2.0mmの1LX3.212を3本ポチってしまいました。

切削中にポチったわけではありませんが
台座部分ができました。
まだ取り出しません。
今度は、蓋部分です。
まずは、2.0mm PVC用エンドミルで仕上げ代 0.0mmの荒削りです。
先程の台座部分の横から掘り出しています。
元のS300、F300から
Feed:75%にしています。
広い面を深さ0.5mmで掘り込んでいると
スピンドルのトルク不足みたいな感じなので
Spindle Speed:110%にします。
やはりこの辺は凝視していないと気づかないですね~
最初の方は、ランプ動作で円を描きながら
ゆっくり降りてきて掘っていき、
所定の深さになったら範囲を広げるように切削していきます。
終わりました。
底面は溶着してないけど擦れた感じです。
側面はわりと綺麗です。
実は、ゼロ点調整ですが
どこかでされていたのを見てから
この様に普通の紙でやっています。
0.1mmずつ下げ、紙が動かなくなったら、ゼロにしています。
次は、0.6mm トウモロコシエンドミルで
削り残し部分の細かい所を削ります。
この四角部は約7mm角です。
0.6mmで掘り残しを削ります。
最後の最後、後5mmという所で折れました。
F300のFeedが速すぎました。
削り残しの所だったので切削量は少ないからと
油断していました。
50~60%にしないといけなかったです。
細いエンドミルは慎重に扱わないとですね~
残り7本です。
後で確認すると
上のゼロ点説明の写真撮りの時にゼロ点設定を間違えて
深くしていたようです(´-﹏-`;)
最後に輪郭を切削します。
これまでの感と経験で?
これで大丈夫でしょう!?
元は、S300、F300です。
できました。
静電気は少なそうです。
切削屑は集塵機で簡単に取れました。
これで全ての切削が完了です。
別アングル。
黒バックで、こんな感じ。
タブを切って取り出します。
でき具合をちょっと動画で
マイクロスコープでアップです。
台座と蓋を合わせます。
ピッチピチです。
ちょっと硬いくらい。
クリアランスは、各接触面 0.05mmにしています。
90°回転すると入りません。
ということは、X軸とY軸で
移動距離/ステップが微妙に違っているということですね。
その内、正確に測る必要がありそうです。
このATmega328P-AUの現物を乗せてみます。
こんな感じ。
VGAのマイクロスコープなので画質悪いです。
拡大。
ピンが溝にピッタリ合っています。
ピン部を更に拡大。
いい感じです。
蓋側にも乗せてみます。
ピンを上から抑える突起(黒く写っている長方形)と
ピン位置は、ほぼ合っています。
若干ピンの押さえが幅が狭いかな?
まあ大丈夫でしょう。
続いて
このピンを穴と溝に入れていきます。
CNC2418でこんな小さいものもできるんですね~。
とピンを入れながら満足感に浸っております。
小さすぎて、これがまた大変です。
PCに白画面出してバックにすると穴がよく見えますが
あまりにも小さいので半分は、手探りです。
拡大。
更に拡大。
うまく取り付けています。
金メッキ線径0.45mm、穴径0.5mm、ピッチ0.8mmです。
全部、取り付けました。
30分は掛かりました。
裏側です。
蓋をかぶせます。
丁度ATmega328P-AUのピンの先端に当たる部分は
削ってなく透明なので
下の金メッキ線がよく見えます。
前編はここまでです。
この下にプリント基板を付ける予定です。
水晶発振子とコンデンサなど、ちょっと配線をして
Arduino Unoのシールドにしたいなー
と欲が出てきました。
3連続失敗の後、
今回は思いの外、良いものができて次の作業がワクワクです。
部品がまだ届いていません。
基板をEAGLEで作ろうか、Fusion360で作ろうか
悩んでいます。

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