2017年9月30日土曜日

小型工作機CNC2418 その36(Fusion360のねじ切りで木ネジ)

ちょっと前から気になっていたのですが
Fusion360では、これでネジが簡単に作れます。
CAMには[ねじ切り]ってのもあります。
AliExpressで似たようなミルを探してみると
高かいですね~、ちょっと手が出ません。
で、こんな工具を買ってみました。
見るからに雑な作りです。
金色部は加工残り、実物もここだけぶ厚いです。(Web画像のまんまです)
まあ遊び用という感じ。
厚み1mm、2mm、3mm、4mmの4本セットです。
1本売もあるようです。
50%引きを狙えば、$2.xになります。

軸径は、3mmなので、コレットも購入。

交換が面倒なのでコレット用のナットも買っておかないと。

まずは、雄ネジから。
Fusion360で直径15mm、高さ20mmの円柱を描きます。
[作成]に[ねじ]があります。
[モデル化]にチェックを入れるとネジが描画されます。
が、このネジは使いません。
このネジ断面に合うスロットミルが高価なので...
で、
この円柱のままCAMモードに行きます。
ストックは、モデルと同じにします。
[2D]-[ねじ切り]使います。
購入した工具を「スロットミル」で作成しています。
ここで円柱の側面をクリックするとツールパスができます。
ネジピッチは、2mmにしてみます。
[ピッチ円直径オフセット]を2mmにすれば
深さ1mmの溝ができるようです。
設定は、”直径”であることに注意しないといけません。
シミュレーション結果。
いつも正確なシミュレーション画像がでるのですが
コレに限ってでません。
灰色になっている部分が削られているようですが見えません。
ポスト処理すると確かに深さ1mmの溝を切削しています。
そこで溝の状態が見えるように設定を変えてみます。
CAMセットアップで[ストック直径]を15→19mmにします。
これでシミュレーションすると切削状態が見えます。
モデルの方にもスロットミルが食い込んでいるのがわかります。
モデル部分はシミュレーション画像に反映されませんが
ストック部分と同じように切削されるはずです。
モデルをちゃんと作った方が良さそうです。
ポスト処理をすると
X -12.6~12.6が工具中心になっています。
*****
G2 X-12.6 Z-1 I-12.6
X12.6 Z-2 I12.6
*****
工具径:12.2mmなので
 12.6-(12.2÷2)-[モデル半径7.5mm]=-1
溝直径:2mmで設定していたので
溝の深さ1mmで合っています。

このスロットミルはあまり削れそうにないので
[切削ピッチ回数]:4
[切削ピッチ]:0.5mm
にします。
後でわかったのですが、案の定、直径と半径を間違っています。
1mm溝なので0.5mmだと2回で十分です。
最初の2回は、モデルの外側を空削りするだけなのです。
ツールパスが4重になりました。
14.1~12.6へ0.5mmずつになっています。
***
G2 X-14.1 Z-1 I-14.1

G2 X-13.6 Z-1 I-13.6

G2 X-13.1 Z-1 I-13.1

G2 X-12.6 Z-1 I-12.6
***
パスが増えただけなのでシミュレーション結果は同じです。
(本当は同じではないですが)
では、モデルでちゃんとネジ描く、正規の方法でいきます。
”Fusion360 円柱 螺旋”で検索してAUTODESK公式サイトにでたやり方です。
直径15mm、高さ20mmの円柱を描きます。
[作成]-[コイル]で円柱を切り取りします。
開始面を選択します。
この場合は、X-Y面を選択したので、円柱の底面になります。
円柱底面の中心に中心点を配置します。
コイルの直径を円柱と同じ15mmで入力します。
OKするとコイルができます。
設定ボックスで
 直径:15mm
 回転:12(高さ22mmで溝1mmとするので)
 高さ:22mm
 断面:正方形
 断面サイズ:1mm(半径的な意味)
 操作:切り取り
を入力するとこの様になります。
断面は、5種類選択できます。
ちなみに、高さ:20mm、回転:10にすると
TOPに切り残しがでるのです。
下の方の切り残しは、今回は無視です。
中心点を円柱より下のオフセット平面に設定するとできると思います。
ひとまずモデルできました。
CAMに行きます。
[円形形状の選択]でモデルの溝を選択します。
[円形形状の選択]を選択しても溝ピッチは自動で設定されませんので
先のものと同じに設定します。
後でわかったことですが、
溝を選択した場合は、[ピッチ円直径オフセット]:0でいいのですね。
[切削ピッチ回数]:2が正解です。
前と同様にツールパスが4重になりました。
シミュレーションします。
わかりやすいようにストック直径は、17mmに変えました。
モデルの溝と合いませんね~
切削開始点を指定できないからです。
まあ、回転すれば、同じものになるのですが...
雌ねじの方は、
新規コンポーネントにして
雄ねじの天面に22mm角のスケッチを描きます。
雄ねじ側に10mm押し出します。
[修正]-[ボディを分割]します。
長方体側に雌ねじをつけるので
[分割するボディ]で直方体を選択します。
[分割ツール]で雄ねじを選択します。
OKすると分割されました。
雌ねじのボディが2つになっています。
内側になる[ボディ1]と雄ねじを非表示すると
雌ねじができているのがわかります。
雌ねじをずらして両方を表示しました。
溝のクリアランスは0mmです。
雌ねじだけにしてCAMに行きます。
新規セットアップを作ります。
モード:固定サイズストック
幅・高さ:22mm(モデルと同じ)
高さ:10mm
[モデル位置]:[ボトム(-Z)からのオフセット]にして
[オフセット]:-10mm
モデルとストックを同じ高さにしたので怒られますが無視。
まずは、[2D]-[2Dポケット]で
3.175mm トウモロコシ エンドミルで下穴を開けます。
次に[2D]-[ねじ切り]にします。
溝部分を選択します。
雄ねじと同じ設定です。
執筆中にわかったことですが、ここ間違っていますね~(^^ゞ
まず、[ねじピッチ]:2mmが正解です。
溝を選択した場合は、[ピッチ円直径オフセット]:0で
[切削ピッチ回数]:2にするべきでした。
溝の深さは自動で入るので
[ピッチ円直径オフセット]で指定した分、更に溝が深くなります。
シミュレーションです。
衝突を心配していたのですが、起きていますね~
ぶち当たったまま下に下がっている所があります。
気づかなかったら、1個しかない工具が壊れるところでした。
下の帯で前の方に2箇所、赤い所があります。
黄色の進入動作がいかんですね~
[中心への進入]にチェックを入れてみます。
進入動作がなくなりました。
この辺は、調べるよりいじってみるのが一番です。
リアルタイムでツールパスが変わるので一目瞭然です。
溝がどの様に削られているのかよくわかりませんが
たぶん大丈夫でしょう。
後記:ホントは設定が間違っているので
これで切削していたら、あわや溝はつるつる坊主でした(´-﹏-`;)
この[ねじ切り]では、ピッチは、モデルに合わせて切削してくれる訳ではなく
設定で決まってしまうので、モデルでクリアランスを付けても反映されません。
設定だけで何とかしないといけないのです。
で思い付いたのがこれ!
切削は、ボトムから始まるので
[2D]-[ねじ切り]を2つ作って
1つ目は、[穴ボトムから][ボトム高さ]: 0.0mm
2つ目は、[穴ボトムから][ボトム高さ]:-0.1mm
2つ目は、0.1mmだけズラして切削するので
複数パスのチェックは不要でしょう。
一気に2mm切削できるはずです。
後記:これも間違っています。
[ねじピッチ]:2、[ピッチ円直径オフセット]:0が正解です。
図にするとこんなイメージ。
溝が0.1mm広がり、山部は0.1mm狭まるはずです。
これで一応、雌ねじ側に0.1mmのクリアランスができるはずです。
これも[中心へ進入]を忘れずに!
まずは、雄ねじ用の円柱を作らねばなりません。
雄ねじに頭を付けました。
部材を探します。
この木端でいいでしょう。27mm x 42mmの角材です。
さて、部材をどの方向から切削しようか考えていたら
木目に対してピッチが小さ過ぎるので溝がすぐに折れる気がします。
しかもスロットミルは、厚み1.0mmで螺旋に切削していくので
傾斜させて加工している事になり、溝山は、1.0mmより小さくなるはずです。
ピッチ3mm、溝深さ1.5mmにでっかくしました。
木の大きさに合わせて、ネジも長くしました。
ポスト処理ではコレを忘れないように
まずは、雌(ナット)側の下穴掘りから
エンドミルは、これを新調しております!
深く掘る用に長めのやつが欲しかったのです。
3.175mm 全長45mm 歯部22mmなので
コレットに15mm固定して30mmまで掘れるという目論見です。
一本一本ケースに入っていて高級品のようです。
普通のものは、全長38mmです。
ちと高いです、アフィリンクありません。
高い分、よく削れるような感じもします?
下穴掘り中。
今回の主役、スロットミル、ハッキリ言って精度悪いです。
厚みも場所によって違います。
軸面です。
金色部は、削り残しがないのがホントだと思います。
1mm厚のを測ってみると1.08mm、金色部は、1.45mmでした。
下穴径がギリギリなので当たりがないか調べます。
実は、最初は、下穴径が小さく当たっていたので広げました。
溝の深さから下穴径を計算するとスロットミル径より小さかったのです。
ということで、このミルで切削できる最小ネジということになります。
溝を切削中。
Feed:300mm/minの25%まで落としました。
Spindle Speed:S800 x 120%なのでほぼMax。
やけに振動が大きいです。
と思ったら
いつの間にかZ軸のスライドブッシュがずれ落ちていました。
直ぐにPAUSEしてスピンドルを止めて入れ直します。
何とか終わりました。
0.5mmづつは厳しいようでミルも発熱しています。
削り屑が薄茶色に焦げています。
カットします。
ノコギリで切った方が速いのですが...
雌ネジ(ナット)できました。
溝を削り過ぎた感じ。溝の山に平坦部が残っていません。
次は、雄(ボルト)側です。
スロットミルが当たらないように周りを削らないといけません。
コレが一番時間がかかりました。
溝を切削中。
雌の内側を切削するよりは、スピードを早くできます。
接触面積が少ないためだと思われます。
では、動画を3本。
削り始めですが、予定より深く削っているような?
Feedを30%まで落としました。
1周目の下の方です。
切り屑が周り360度に飛び散り放題!
最後の方です。
この辺は、切削が浅いのでFeed上げました。
またもや途中でスライドブッシュがずれ落ちました。
スロットミルは、わずかにブレて回転しています。
精度が悪いのか、回転数が速すぎるのか、軸を長くし過ぎかでしょう?
何とか終わりました。
ちょっと見難いですが真横から。
溝が綺麗にできています。
雄ネジ溝の拡大。
思ったより綺麗です。
ピッチ3mm、溝の方が幅が広くなっています。
測定結果です。
モデルの溝深さは、1.5mm。
CAM設定は、これなのです。
頭部を掘り出します。
何で六角にしなかったのだろう?
一応、雄雌ペアが完成!
雌の方が削り過ぎでブカブカです。
ブカブカなので雌ネジに再挑戦です。
削り過ぎなので[ピッチ円直径オフセット]:2mmに小さくして
複数パス:0.25mmx8回に設定していましたが4回で止めました。
Feed 300mm/minの30%、Speed 50% S500です。
振動は少なくなりましたが
やはりリニアブッシュがずれ落ちてきます。
普通と違う振動なのでしょうね~
雌ねじ側は、下穴径12.5mm、スロットミル径12.2mmなので
ほぼ半面近くを使って削っていることになります。
これでは負荷掛かるわけです。
もっと大きなネジにしておけばよかったです。
2つ目ができましたが、まだブカブカです。
どうもおかしいです。何故なのかわかりません。
3つ目に行きます。
更に[ピッチ円直径オフセット]:1.3mmに小さくして
複数パス:0.1mm x 13回にしました。
途中で止めてハマリ具合を確かめながら
(途中で止めるとまた最初からやり直しですが)
0.1mm x 6回では入らず。
8回で止めると、ほぼいい感じで雄ネジが入りました。
若干のガタはありますがいい感じです。
これが本当の”木ネジ”ですかね。
左端の穴が3つ目。
入れ始め。
回すといい感じで入っていきます。
玩具レベルですが、ボルトとナットと言っていいでしょう。
どうも最初の1周目が削り過ぎているような気がします。
音も振動も大きいようなのです。
[ピッチ円直径オフセット]の説明を改めてみるも
下の「注:」の意味がわかりません。
で、簡単なネジでFusion360のCAM設定を色々いじってみると。
切削面の指定[円形状面の選択]で溝の谷部を選択した場合は、
溝の深さは自動でGcodeに反映されるので
[ピッチ円直径オフセット]は、”0”でいいのです。
数値を入力した分は、モデルの溝の深さにプラスされてしまいます。
ということで、説明をまとめるとこの様になります。
直径指定と半径指定が混ざっていてややこしいのです。
複数パスの設定を間違えると最初の切削深さが大きくなってしまうのです。
雌ネジを3つ並べると
溝の中は測定できないので表面での測定です。
あまり正確ではありません。
3回目の設定を上の図の式で計算すると
 TOTAL溝深さ:1.5+1.3/2=2.15mm
 複数パス切削深さ:0.1x13=1.3
 最初の切削深さ:2.15-1.3=0.85mm これが原因でした!
8回で止めたので
 溝深さ:0.85+0.1x7=1.55mm
更に下穴を12mm→12.5mmにしていて半径0.25mm引かないといけないので
 溝深さ:1.55ー0.25=1.3mm
でうまいことに測定と一致しました。
同様に計算すると、1回目:2.75mm、2回目:2.5mm
まあ溝の深さ自体正確に測れないのでこんなもんでしょう。
考え方は合っていると思います。

最後にまたスロットミルを探してみました。
これもなかなか良さそうですが、Φ12とΦ16の2本でこの価格かあ...
シャンク径:6mm
一応、アフィリンクも

高いものはよく見るとねじ切り専用なんですね~
アフィリンクもありません。
ISOネジ対応表があります。
更に高いのだと、M1まであります。
このサイズになると手加工ではタップもダイスも折らしてしまうので
CNCで加工するといいのかも?
一本でタップとダイスを兼ねられるし。

今の所、コレ使って何か作る予定はないのですが、ちょっと遊べました。
特に小さいのは、直径と半径を間違えても気づきに難いというのが教訓ですね。
その内、何かの役に立つでしょう?

2 件のコメント:

昔青年 さんのコメント...

Fusion360どんどん使い込んでいきますね!
 マーティーさんに刺激されて、ぼちぼち勉強していますが、解説なしの用語が出てくる入門書には泣かされます。
あまり2DCADの経験(といってもかじった程度ですが)が役立ちませんね。普通はここでめげてしまうところですが、マーティーさんの製作とリンクした記事でなんとか真似したいとあきらめずに続けています。
 ところで、リンク張っていただいているER11付DCモーターが、ER16付に変わっていますね。ER16にかわっても、モーターが非力では、あまりメリットがないのかも?

マーティーの工房日誌 さんのコメント...

ちょっと遠くにでかけており、応答遅れまして m(_ _)m
私も最初は用語がわからず、YouTubeでフル操作を見ないとできないこともありました。JW-CADも使えなかった(今も使えません)のですが、少~しずつ慣れてきて、何とかここまでという感じです。果たして正しい使い方をしているのだろうか、若干の不安もありますが、物ができたのでまあいいか、です。
ER16になっていますか!ひょっとしたら重い分、回転が安定するのかもです? 予備を買った時にコレットを買い直さないといけないのは痛いですね~ 時既に遅しですか!