2019年3月2日土曜日

携帯オシロ DSO QUAD "DS203" 修理(OP-AMP)

携帯オシロ DSO QUADのDS203が、一部壊れたままです。
修理用のパーツが届いるのです。
この時にCO2レーザー管の電流を100KΩのバラスト抵抗で測ったら
予想より遥かに高く、ChAが一部死んだのでした(T_T)
油断してて、x10 Probeで800V以上の入力になったみたいで
DS203の最大入力80Vをオーバーしてしまったようです。
アナログツマミがあれば、上のレンジから落としていくのですが
ボタン操作切替えなので、うっかり低レンジでいっちゃうんです(-_-;)
一部死の症状とは、
ChA、ChB ともDC 1.0Vレンジでは、正常に測定できます。
入力ショートで、水色:ChA、黄色:ChBで夫々GNDレベルになっています。
所が、0.5Vレンジにすると
黄色:ChBは、GNDレベルのままですが、
ChAの水色は、一瞬で上の方に吹っ飛んでいきます。
入力は、ショートしているのです。
Y POSITION調整しても全然ダメなのです。
SeeedstudioにDS203 V2.7の回路図(PDF)の
フロントエンド部分は、これです。
ちと見難いので、書き換えてたのを引っ張り出してきます。
DS203のキャリブレーションの時に解ったのですが、
アナログSW S3は、Ax0制御で0.5V/DIVと1.0V/DIVレンジを切替えています。
0.5V/DIV以下で、Ax0:Highになり、アナログSW S3が閉じて
OP-AMP U1Bの出力が後段に接続されます。
症状からして、その時に出力が跳ね上がっているのでしょう。
ということは、アナログSW S3は生きていて
U1Bが死んでラッチアップしてると考えられます。
2個入りOP-AMP:OPA2354AIDGKの片方です。

「OPA2354AIDGK」をAliで探すと
末尾が、DGKRとDGKTの2種類あり、TIのDatasheetを見ると
両方共、VSSO Ppackageで、PackageQtyの差 R:2500 T:250でした。
R:Rell、T:Tapeの略でしょう?
ということで、Aliで、この辺の最安値をポチっておきました。
US$ 3.78/5個(5% OFF)
もうちょっと分り易い画像を使ってはどうかと思いますが...
でも、こんなパーツまで売ってるAliは、誠にありがたいです。

アナログSWも壊れてるかもしれないので、ここで入手しています。
CPC1017N  US$ 1.55/5個

では、修理開始です。
裏蓋の4コーナーのボルトを外して
バッテリーがあります。
バッテリーをコネクタから外して
上蓋は、ボルトなどで固定されてないので下側から持ち上げると
基板が取り出せます。
電源スイッチノブ(左下の黒いの)がなくならないように気をつけます。
さて、シールド板を外さないといけません。
こちら側の赤丸部、2ヶ所
と反対側の赤丸部の1ヶ所
ハンダ付けされています。
基板をLCD側から見ると赤丸部の3箇所です。
おなじみのサンハヤト製の「はんだ シュッ太郎」(30Wヒーター)の出番です!
手動のバネ式でも、威力は電動の吸取機に劣りません。
ハンダをシュポッと吸い取ると、穴が大きかったので、
シールド板は、わりと簡単に取れました。
基板の部品面です。
標的のOP-AMPとアナログSWは、右側にあります。
白と緑の縦に並んでいるのが、波形調整用のトリマです。
右側のフロントエンド部を拡大!
赤丸が、壊れたと思われるU1の2個入りOP-AMPです。
その上の4ピンのがアナログSWです。
更に拡大
「OACI」ってのが、OPA2354AIDGのデバイスマーキングです。
3A7Eは、製造番号です。
取り外すには、この小型ホットブローを使います。
高さ2cm位からホットブローでOP-AMPを熱しながら
ピンセットで引き上げながら、5秒位で取れました。
ランドにハンダがのこっているので
このハンダ吸い取り線を使います。
フラックスを染み込ませんた細い銅線の網線です。
半田ごては、小手先は、6種類と予備セラミックヒーター(丸棒型)です。
ランドがキレイになったので、半田ごての先っぽを交換します。
US$ 6.22(25% OFF)

普段使っている小手先は、一番左の。
今回は、左から2番目の一番先が尖ったやつにします。
上が外したOP-AMP、下が新品
ほぼ米粒1個のサイズです。
VSSOPパッケージ、ピッチ:0.5mm、ピン間の隙間:0.2mmです。
外した上のやつは、ピンセットで強く摘んだので欠けちゃってます。
更に拡大!
フル品番ではなくデバイスマーキングなので、ちと心配ですが
一応、両方共「OACI」の表示なので大丈夫でしょう。
それにしても小さいので、とても微細な半田付け作業になります。
こうゆうものがあるといいですが、ないので(-_-;)
欲しいですが、価格の割に出番が少なそうで...

こうゆうものを出してきました、
大きい倍率では、かなり近くに寄らないといけなくて作業し難いので
今流行りのハ**ルーペのモドキ品で頑張ることにします^^;
日本で買った100円品なので、お尻に敷いたら確実に壊れるでしょう。
それと、日本の何処かで買った逆差動ピンセットを使います。
Aliですと「Cross Lock」とか「Reverse Action」ピンセットと呼ぶらしい。
約US$ 3 意外と高いな~

その逆差動ピンセットで、この様にOP-AMPを挟んで固定します。
拡大!
ランドに合わせるのがなかなか難しいです。
フラックスをタップリ塗って
ふ~っ!やっと息ができます!
何とか半田付け成功したようです。
このUSB マイクロスコープで拡大してみます。

アルコールでフラックスを拭き取りました。
ん~ん、意外といいんじゃないでしょうか!
マーティーの眼も、まだ捨てたもんじゃない気がしてきました^^;
でも、眼科で「白内障の手術は1~2年後だと」宣告されております_| ̄|○
ちなみに壊れてない方のU2は、これ!
こっちの方がランドより左にズレてるし...
ハンダ付け大丈夫そうなので
ケースを付けずにバッテリーだけ付けて確認してみます。
電源入れると
お~っ!復活しました!
水色のラインがCh Aです。
最低の50mV/DIVにしてもちゃんとGNDレベルが現れるようになりました!
いや~嬉しい~\(^o^)/
シールドケースを元通りにハンダ付けして、ケースに入れます。
上側のノブとボタン側を先に入れます。
おっと忘れていました。
電源スイッチノブがはずれないようにセロテープで留めておかないと
上手く入らないのです。
ポリマーリチウムイオンバッテリーを装着して
消費電力は低いのでかなり長持ちします。
裏蓋を被せて、スイッチON!
修理完了です\(^o^)/
さて、フロントエンドのOP-AMPを交換しただけなので
トリマ調整は、不要でしょう。
DCオフセットは、変わってると思われます。
ということで、ソフトウェア・キャリブレーションの
自動オフセット・キャリブレーションだけ行うことにします。
マーティーのDS203は、ここで修復して
オリジナルの機能強化版のカスタムオシロアプリ ”Wildcat V5.5”が入っています。
この先は、以前と同じものですが
全項目キャリブレーションした、この時の手順から
オフセット・キャリブレーションだけコピペしてやります^^;

 【オフセット・キャリブレーションを始める前の準備】
・DS203本体は、電池を1/4~1/2まで放電しておく(電池電圧変動の補正の為)
・電源を10分程入れて本体を定常温度にしておく

【キャリブレーション開始】
※ここからデータ保存までを電池駆動とUSB給電で2回繰り返します。

キャリブレーションは、ChAから始めるので[CH(A)]を点滅させておきます。
(サブメニューは、AC/DC、レンジ、YPOSどこでもOK)
([ChB]点滅状態からだとChBから開始できます)
赤枠のどこかが([YPOS]は水色で)点滅していればいいです。
そこで■ボタンを約3秒ホールド(押したまま)していると
この「COMPENSATE FOR CPU CLOCK」がでます。
「CPUクロック周波数オフセット調整」です。
マーティー工房には、この精度で測定できる周波数カウンターはないので
前回同様、(+000)のまま、■ボタンを短押しで次に進みます。
次は、この画面が出ます。
ここから先は、電池電圧変動の補正も行うため同じ操作を2巡します。
1巡目.LOW Battery:1/4充電状態(W/LOW BATT 1/4 CHARGE)
2巡目.HIGH Battery:USB給電状態(W/AC CHARGER)
で、ますは、1巡目、電池駆動で、ChA、Probe x1 を GNDに接続します。
2巡目の時は、USB給電にします)
■ボタンを短押しで次に進みます。
自動オフセットキャリブレーションが始まります。
赤枠の所が自動で変わっていきます。同じ所を3周するようです。
マーティーは、静止画では挙動がわからず迷ったので
ChAの自動オフセットキャリブレーションの動画です。
これにより、ChA(アナログ)のDCオフセットと、Yポジションが変更された時の
オフセットトラッキングが最小限に抑えられるとのこと。
オフセットキャリブレーションが終わると
ゲインキャリブレーションに移り[VOLTAGE]の一番上の欄が点滅します。
ここから【ゲイン調整をスキップ】するので、
オフセットキャリブレーションが終了した段階で
ChAのProbeをGNDにしたまま[右トグル]を右に倒していき
「SELECT THE CALIBRATION CH_B」がでるまで進め
ChBの自動オフセットキャリブレーションを行います。
ChBの自動オフセットキャリブレーションが終わったら、ChAの時と同様に
ChBのProbeをGNDにしたままで[右トグル]を右に倒していけば、
ゲインキャリブレーションはスキップされます。
この画面がでるまで進めて、
電池駆動であれば、BUTTON 2=■ボタンを押してデータを保存。
USB給電であれば、BUTTON 3=●ボタンを押してデータを保存すれば
オフセットキャリブレーションだけされたことになります。
最悪、買い換えも覚悟しておりましたが、無事復活したので
また、活躍してもらえそうです(^o^)

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